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リニアシャフトモータで実践する精密推力制御

本特集は、機械設計(2018年8月号)に掲載された当社記事を再構成したものです。

1. はじめに

スマートフォンの発展には目覚ましいものがある。それは製品企画、ソフウェア、アプリケーション、ネットワークなどの進化がもたらしているが、それら機能を実現するためのハードウェアは半導体・材料・加工技術の弛まない開発製造努力によるものだといえるだろう。その製造工程には加工、測定、検査など用途・方法・求められる期待値など様々で、モータについても多種、多様のモータがありそれぞれの用途で選定され使用されている。

特に作業性に精度を求めるアプリケーションにはステッピングモータ、サーボモータなどが広く普及しているが、直動機構で高精度を求める装置にリニアサーボモータを使用されるケースが近年増えてきている。

ところでリニアモータについてはご存知の方、もしくはすでに採用している方も多いかと思うが、”高精度位置決め、高速搬送”用途以外にも別の特徴を持ち合せていることをご存知の方は少ないのではないだろうか。

今回その特徴を併せ持つ”リニアシャフトモータ”(開発・製造元 ジイエムシーヒルストン社)についてご案内して行きたい。

2. シャフトモータの原理

まず、リニアモータについて大きな分類を説明する。 
(図1) のようにリニアサーボモータはフラット型(形態は更に分類される)とシャフト型にわかれる。
更にそれぞれコア(鉄心)有/無に分類される。
この大きな分類は性能・特徴も差別化されておりシャフトモータはシャフト型のコア無しモータの分類になる。

また、構造上では360°方向において磁束を使用しており (図2)、シャフトが偏芯しても推力ムラ、性能の変化が見られない、磁束使用効率が高いなどの特徴を持っている。



3. シャフトモータの特長

シャフトモータは以下の主な特徴を持っている。
・コギングレス、低振動(スムーズな動作)
・優れた速度安定性能
・ 優れた応答性能
・ サーボロック時の震動がきわめて小さい
・ 構造上の特徴から剛性を上げやすい
・ 組込み、保守が容易にできる

などの特質した優位性を持っており、精密加工、検査、測定などの装置に幅広く採用され実績を残している。

4. いろいろな推力制御

さて、本題に移る。
製品製造において精密位置決め以外にも当然いろいろな技術が求められる。
そのなかで圧力を加える、推力を微妙に変化させて加工や検査を行う工程がある。

現場での多くは空気圧、油圧、サーボプレス、ピエゾなどいろいろな方法が存在するが、 それぞれ精度・圧力・速度など得手不得手があるが、 いくつかの要素を兼ね備えた制御を可能にしているのがシャフトモータである。

これは構造上の利点が関わってきているが、 以下に説明をする。

5. シャフトモータで行う精密推力制御

まず、シャフトモータはシャフトを取巻く3相 (U/V/W) コイルへ電力を供給して動作させているモータである。 このコイルへ電流を流す順番や電流量で方向や推力を変化させている。 一般にモータは供給する電流が増えれば推力 (トルク) 値が上がるが、モータによってその変化傾向はそれぞれ異なる。

ではシャフトモータはどうか?
その電流値と推力値の測定実験の参考データを記載する。 (図3 ジイエムシーヒルストン社測定)






この実験においては1%の推力指令で0.028N(2.8g)、 ばらつきは3σで0.026N(2.6g)という直線性を実現しており、非常に高精度、高分解能の推力制御を行っているといえる。これは先に述べた円筒形のシャフトモータ構造が安定した磁束効率を保ちコアレスモータの特徴である低振動(電流の安定)でスムーズな動きがもたらす効果といえる。

本実験の使用モータ、機材と実験方法は下記の通りである。

・使用モータ:S080T (シャフト径8mm)
・定格推力2.7N/加速推力11N
・エンコーダ分解能0.5μm 
・垂直方向(バネにて自重キャンセル)
・ロードセルにて計測
 
 
実験に関しては
・指令推力を1%刻みで増加させロードセルにて推力を測定
・測定範囲 (1%~85%)
・測定回数 各範囲を5回測定とした。
 
アナログ指令の分解能、ドライバ性能によっても多少の誤差が生じる可能性はあるものの非常に高い直線性能(リニアリティ)を表現している。 特に電流の投入直後から直線性が維持されておりユーザーにおいてはとても計算しやすい高精度な制御が可能となる。

6. 空圧サーボシステム併用で高推力制御も可能

また、現在は空圧サーボシステムを組合せた、ハイブリッド加圧制御システムの開発にも着手しており、たとえば0.1N~250N の高範囲の加圧制御を精度良く実現することが可能であり、従来複数の装置で処理していた工程を簡略化することが可能である。

(図4)にシャフトモータ/空圧併用の実験データを提示する。





該当実験は0N→200Nまで加圧してその後圧力を維持した状態にしている。
拡大図で確認できる通り、定圧域200Nでは±0.26N(±26g)で安定しており誤差は0.13%である。制御は加圧開始から定圧域、減圧の一連をシャフトモータと空圧制御をサーボ/補間しながらコントロールしている。

この制御は、モータサイズ、空圧力(コンプレッサ)を変えることでもっと大きな加圧制御も可能となる。
更にリニアモータの問題点である、垂直方向で設置の際の自重保持についてもエアーがサポートしており自重キャンセリングすることによって、モータ発熱を抑えることができるメリットもある。

7. ハプティクス力覚制御

また、このシステムの付帯機能として、ワークのやわらかさ、重さなどをセンサレスで感知することが可能である。
この応用としてはワークの状態を検出してその情報に基づき加える力を抑制しながら作業させるという力覚制御も可能にしており、一体化、コンパクト性、そしてセンシングと制御を短時間で行うメリットがあり、FAロボット、各種挿入装置、組立て、製造スタッフが使用するサポートツール機器などに検討が見込まれる。

上記作業はいずれも人の手で行うよりも時間短縮、品質向上が見込まれるものである。

6. 用途・応用例

半導体/液晶組立・貼り合せ・接合、ボンディング、実装機、研磨、液晶タッチパネル検査、耐久試験、
プレス加工、ハプティクス力覚制御 など

6. まとめ

シャフトモータの特徴である、 360°の磁束を使い偏芯しても推力・性能の変化がなく安定している、という構造上の優位性とコアレスモータの特性が大きなポイントになっている。
それによってリニアリティの高い高精度な推力制御を可能にしているといえる。

制御面で言えば精密位置決めモード⇔推力モード⇔ハプティクス力覚制御の切替えをコンビネーションで制御することもできるので、今までのリニアモータのアプリケーションとは異なる市場の可能性も大いにあるであろう。

ここ数年でAI技術がものすごいスピードで進化し新たな技術の導入も求められているが、シャフトモータを使用した興味深い装置の開発を期待したい。
以上。

機械設計(2018年8月号)掲載

シャフトモータラインナップ

コアレスシャフトモータ
コアレスシャフトモータラインナップ
小型から大型まで幅広くラインナップしています。
シャフト径 (Φ4~Φ60.5)
定格推力 (0.29N~780N)
加速推力 (1.2N~3100N)
最大ストローク (3680mm)
取り付けがより簡単なラージギャップタイプもございます。
SLPシリーズ
SLPシリーズラインナップ リニアガイド・リニアスケールを内蔵した1軸シャフトモータスライダです。

アッセンブリ・立ち上げ期間の短縮にメリットがあり、主に自動省力機器・生産設備の搬送用途などオーダーメイド装置分野に向きます。
 
SCRシリーズ
SCRシリーズラインナップ
クロスローラガイドを採用し、サーボの高速性とピエゾステージの高精度を実現させたナノポジショニング小型ステージです。
エンコーダ分解能は0.001μm~1μmが選択可能。可動子固定(ムービングシャフト)方式により、熱伝導対策、高い速度安定性を実現しました。
 

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