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モータ動作検証のススメ

1.『電圧』『電流』を変更した動作検証のススメ

当社ステッピングモータをご使用いただいているお客様からモータが「動かない!」「動作がおかしい?」というお問い合わせがあります。 
 
多くの場合はモータ組込時の取付ミスだったり、配線ミス、駆動の設定ミスが原因で早期に解決する場合が多いのですが、中には解決が難しいケースもございます。 
 
お客様のご使用状況(負荷トルク等)を伺うと、装置設計時の「計算値」は存在していますが、試作等で実機での「実力値(実測値)」を確認(測定)されていない場合もございます。 
 
そこで、トラブルを未然に防止するための「動作検証」をオススメいたします。
 
◆モータ駆動が『定電圧駆動』の場合
 1.モータの電源ラインに電圧設定が変更可能な電源装置を接続します。
 2.電圧設定を「OV」に設定して電源装置を出力状態にします。
 3.装置を動作させ、電源装置の電圧設定を徐々に上げていきます。
 4.装置の一連の動作が可能な電圧値が「最低駆動電圧」となります。
 
◆モータ駆動が『定電流駆動』の場合
 1.ドライバ基板の電流設定を「最小値」に設定します。
   ※電流設定の変更機能が無いドライバ基板の場合は、電流設定が変更可能なドライバ基板に接続を一旦変更します。
 2.装置を動作させ、電流設定ボリュームを徐々に上げていく。
 3.装置の一連の動作が可能な電流値が「最低駆動電流」となります。
 
 
装置で実際に使用する「設定電圧」「設定電流」のトルクと 測定した「最低駆動電圧」「最低駆動電流」のトルクを比較することで、トルク面での『安全率』を確認できます。
 

2.『パルスレイト』を変更した動作検証のススメ

『パルスレイト』を変更して動作検証を行う方法をご紹介します。
  
◆『自起動周波数』の確認
 1.モータ仕様書等に記載されている「最高自起動周波数」よりも高いパルスレイト値を設定します。
 2.一度、装置を動作させてみます。
   (最高自起動周波数以上の値のため、装置は動作しません。)
 3.上記の値からパルスレイト値を徐々に下げていきます。
 4.装置の一連の動作が可能なパルスレイト値が「自起動周波数」の使用範囲になります。
 
◆『連続応答周波数』の確認
 1.上記で確認出来た「自起動周波数」の使用範囲の内、低いパルスレイト値(FL)を設定します。(例:100pps程度)
 2.次にスローアップ/スローダウンの時間を設定します。(例:100ms程度)
 3.次にモータ仕様書等に記載されている「最高連続応答周波数」よりも高いパルスレイト値(FH)を設定します。
 4.一度、装置を動作させてみます。
   (最高連続応答周波数以上の値のため、一旦装置は動作しますが、途中で停止してしまいます。)
 5.上記の値からパルスレイト値(FH)を徐々に下げていきます。
 6.装置の一連の動作が可能なパルスレイト値(FH)が「連続応答周波数」の使用範囲になります。
 
装置で実際に使用する「自起動周波数」「連続応答周波数」のパルスレイト値と測定した「自起動周波数」「連続応答周波数」のパルスレイト値を比較することでパルスレイト面での『安全率』を確認することができます。
 

3.『負荷』を変更した動作検証のススメ

装置でご使用されているモータ用電源に電圧変更機能が無い場合や、装置でご使用されているモータドライバに電流を変更するスイッチやボリュームが無い場合があります。
 
また、モータが装置に組み込まれている場合、装置のコントローラで設定されているプログラムのみでしかモータを動作させることができない、パルスレイトを任意に変更して動作させることができない場合があります。
 
その場合、『負荷』を変更して行う方法がございます。
 
◆『負荷』の確認
 1.装置の稼働部に「重り」を載せます。
 2.装置のコントローラから動作を開始します。
 3.装置又はモータを使用しているユニットの動作が正常に終了することを確認します。
 4.正常終了した場合は、稼働部に重りを追加して「2」「3」を繰り返します。
 5.正常終了しなかった場合は、重りの質量を記録します。
 
動作が正常終了した重りの質量と、装置で実際に動作させるワークの質量の差が、負荷の面での『安全率』となります。
 

4.『共振現象』の動作検証のススメ

ステッピングモータの駆動方式を「定電圧駆動」から「定電流駆動」へ変更されたお客様から、『モータの動きがおかしい』『モータが逆回転する』というお問い合わせがあります。

ステッピングモータは特性上、低パルスレイトでモータの振動が大きくなる「共振現象」があります。 この時の周波数を「共振周波数」、振動が大きい周波数の範囲を「共振領域」と呼びます。共振領域の中で更に振動が大きくなるとモータが正常に回転出来なくなる状態となり、 この状態を「乱調現象」と呼び、この周波数を「乱調周波数」と呼びます。

共振周波数は、モータの振動や音は大きくなりますが、装置を駆動させることは可能です。
乱調周波数は、モータが正常に回転出来ない状態ですが、負荷の具合に依っては装置(モータ)が正常に動作しているように見えてしまうことがあります。
また、外力でモータの出力軸を動作させてしまう装置状態、負荷状態ですと、入力しているパルス(回転方向)とは逆方向にモータが動作してしまう現象『逆転』が発生します。

その場合、『乱調周波数』を確認する必要があります。

◆『乱調周波数』の確認
 1.装置からモータを取り外す。
   モータを取り外せない場合は、モータ出力軸から負荷を取り外す。
 2.出力軸1回転のパルス数を設定する。
 3.モータを動作させる。
 4.出力軸が1回転した位置で停止しているか確認する。(ズレがないか確認する。)
 5.「3」~「4」を数回繰り返す。

モータを動作させた直後、出力軸が正常に回転出来ない場合は、設定されたパルスレイトは『乱調周波数』の可能性が考えられます。動作した場合でも、1回転の停止位置で出力軸がズレている場合は、『乱調周波数』の可能性が考えられます。

ステッピングモータは「ユニポーラ」「バイポーラ」「定電圧駆動」「定電流駆動」に関係無く、「モータのコイル抵抗値」と「設定電圧(電流)」「パルスレイト」の組み合わせで共振現象が発生します。
また、装置の「負荷」の条件に依っては、モータが逆回転してしまう現象も発生しますので、上記の確認方法をぜひお試し下さい。

5.『温度上昇』の測定のススメ

モータの電圧や電流を定格以上に設定して使われるお客様から、モータの温度上昇に関するお問い合わせがあります。
モータの温度上昇を測定する方法として、『外被法』と『抵抗法』があります。

『外被法』
モータのケースに温度計(熱電対等)を取り付けて、
温度の上昇が飽和(一定温度に落ち着いた)した値から通電前の温度(周囲温度)を引き、直接的に温度上昇を求める方法です。

『抵抗法』
コイル抵抗値は温度により変化します。
通電前のコイル抵抗値を測定し、温度の上昇が飽和した状態で、コイル抵抗値を測定します。
それぞれの測定値から計算にて間接的に温度上昇を求める方法です。


定格以上の電圧や電流を印加することで、モータのトルクは上がりますが、温度も高温になってしまいます。
モータの許容温度はケース部で100℃になりますが、数分で100℃に到達し、コイルを焼損させてしまった事例があります。

定格以上の電圧や電流を印加してご使用される場合は、

モータ停止時に
1.定電圧駆動の場合は、励磁OFFを行う。
2.定電流駆動の場合は、カレントダウン機能を使用する。

等の設定を行い、モータの温度上昇を抑える駆動が必要になります。

また、適切な電圧・電流設定を行うことで、モータの温度上昇を抑えることにもなりますので、ぜひお試し下さい。