ステッピングモーターの壊しかた

過去10年に渡り、(当社に持ち込まれた)ステッピングモーターの故障・不具合について調査した結果、トラブルの"60%以上"が避けられたかもしれない原因でした。

間違った使い方をすれば、簡単に故障してしまいます。
取り扱いに慣れている方もそうでない方も、現場でついやってしまいがちな"5つの間違った使い方"をご紹介いたします。

正しい使い方をして、ステッピングモーターを長持ちさせましょう!

 

1.定格を超えて電流・電圧をかける

モーターのスピードをもう少し上げたい!
もっとトルクを出したい!

そんな時は定格以上の電流・電圧をかければ、パワーアップできますか?

ステッピングモーターにかける電圧・電流は、強くすればその分トルクや応答速度も改善しますが、ある程度のところで頭打ち(飽和)します。またトルクが増える以上に発熱が増えるので、コイル焼損による破損や高熱による寿命低下の原因となるのでご注意ください。

(ただし通電を短時間にとどめるなど、発熱を考慮した上手な使い方はモーターから1クラス上の運転能力を引き出せる可能性もあるので、使い方が気になる場合はお問い合わせください。)

2.過負荷状態で動かす

設計した時よりワークが少し重くなってしまった。
でも、ちゃんと動いている。

問題なさそうだからまぁいいか。。

ステッピングモーターが脱調しない負荷の範囲においては、負荷が重たくなること自体は問題ありません。ただし、連動するギヤヘッドや軸受けについては寿命低下、破損につながる可能性が出てくるため、ギヤ比・サイズなどの再検討がオススメです。負荷などの経年変化に対するモーターの余裕度の確保にもつながります。

(数年後、メカが動かなくなる前に)お気軽にお問い合わせください。

3.出力軸を外からの力で回す

組み立ての時、位置を少し調整したかったので、手で少し動かしてみた。
異音がしたけど、問題はなさそう。

モーター単体を外力で回転させることは構造上の問題はありませんが、モーターが発電機として作用してしまい、制御回路等を破壊させる可能性があります。
それ以外でも、ギヤ付き仕様のステッピングモーターの場合、出力軸を外力で無理に回すとディテントトルクやホールディングトルクが大きな抵抗力となり、ギヤそのものの破壊につながります。
特に高ギヤ比の場合はご注意ください。
手動操作(外力による回転)が前提となっているような用途の場合は、すべりクラッチ機構を外部に設けていただくのがオススメです。

4.リード線のストレス

たくさんのモーターを運ぶのに、面倒くさかったのでリード線をまとめて持って運んだ。
この方が効率的!

モーターのリード線をもって持ち上げたりすると、コイル内部にストレスがかかり断線の原因となることがあります。
その他にもケースなどの打痕や傷などの原因になりますので、モーターはケースを持って丁寧な取り扱いをお願い致します。

5.軸受部分の油漏れ

後でモーターを使うために、作業台にモーターを出しておいた。
傷がつかないようウエスを敷いて、その上にモーターを置いた。

一見丁寧な取り扱いのように思えて見落とされがちなのですが、軸受けに使われている含侵焼結軸受け(ボールベアリングタイプを除く)の含侵油は、新品のモーターでは滴るほど豊富に含まれています。
紙や布など繊維質の物体を触れさせると毛細管現象で吸い出されてしまい、含油量の低下からの寿命低下につながることがあります。
使用の直前まで出荷梱包時のトレイに入れておくことがオススメです。

まとめ

ついやってしまいそうなケースをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ステッピングモーターは、意外とデリケートな製品ですので、丁寧に扱っていただけるとメーカーとして嬉しいです。


当社ではステッピングモーターのトラブルシューティングセミナーを定期的に開催しております。
さらにモーターのトラブルについて知りたい方はぜひ受講してみてください。無料でご参加いただけます。